2022.07.25 UP

kippis mag

kippis mag.No.7 キッピスの子育てボックス、もらってみてどうだった?
東川町って、子育てしやすいってほんと?
東川のママに聞いてみました!

産後の子育て家庭に便利なアイテムをぎゅっと詰め込んでお渡しする、キッピスの子育てボックス。全国的に見てもユニークな子育て支援策を行う北海道・東川町とキッピスがタッグを組んで始まったこちらのプロジェクトですが、キッピスが気になるのは、贈ったその先。喜んでいただけているかどうか、また、何か内容に不満な点は……? もしあったら、知りたい!というわけで、実際に子育てボックスをもらったママに聞いてみようと、東川町におじゃましました。

見渡す限り、目に優しい黄緑色の木々や草が目に入る。新緑が美しいに季節に東川を訪れました。
見渡す限り、目に優しい黄緑色の木々や草が目に入る。新緑が美しいに季節に東川を訪れました。
インタビューを行ったのは、東川町の複合交流施設「せんとぴゅあ」内の、子どものためのライブラリースペース。
インタビューを行ったのは、東川町の複合交流施設「せんとぴゅあ」内の、子どものためのライブラリースペース。絵本や子どもの本がいっぱい。

移住者の多い東川町ですが、今回インタビューを受けてくれた西隈裕子さんも、その1人。子育てによい環境を求めて、実に7か所を移り住んできたという経験の持ち主。その生活をYouTubeやブログなどでも発信しています。そして現在。8番目に到達した東川町で、3人目のお子さんを22年の1月に出産。キッピスの子育てボックスを受け取りました。
「開封する瞬間が本当に楽しくて!上の2人の子どもと一緒に楽しく開けさせてもらいました」
特に気に入ったのは、6重ガーゼで作られたスリーパーだったとか。キッピスのアイコン、しろくまを始め、さまざまな動物が描かれた優しいデザインです。
「新生児期、赤ちゃんに布団をかけるのが怖かったので、代わりにスリーパー1枚で寝かせていたんです。素材も優しいし、すごく重宝しました。あと、よだれが多い子なので、2枚入っていたスタイも頻繁に使ってます。ブランケットは、キッピスのフクロウのデザインがかわいくて、肌ざわりもよくて。車の中やベビーカーなどどこでも使えるサイズ感が便利です。実は上の子と年の差があいた、久々の育児だったから、育児グッズがそろってなくて。もらえてうれしいものばかりでした」
実は出産時期は、新型コロナ第6波真っ盛り。感染のリスクを考え、産後すぐにはお届けできなかったというのが実情でした。
「生後1か月ぐらいの時に、役場の方が届けに来てくださいました。 新生児用のおむつがギリギリ使えるかなというタイミングで。でもちゃんと使えました」
ほっと胸を撫で下ろしたキッピスチームですが、あげるタイミングやおむつのサイズは今後の課題です。

キッピスのブランケット。キッピスのスリッパ。
(左)西隈さんにお気に入りと言っていただけた、キッピスのブランケット。オーガニックコットンをモール状に撚った素材感が優しい。
(右)キッピスのスリッパは、内側にマグネットが内蔵されていて、バラバラにならない。子育て中は、どうしてもバタバタするもの。忙しいママにぜひおすすめしたいアイテムです。

また、ママやパパが使える大人用のアイテムが入っているのも、キッピスの子育てボックスの特徴。
「私が一番気に入ったのは、スリッパですね。本当に大雑把な性格で散らかしがちなので、内側にマグネットが付いていてバラバラにならないところがすごいと思って。あと、すぐには使えないんですけど、個人的には通園バッグを使うのが楽しみだなって、ワクワクしています。実は最初、ピンクが届いたのですが、ブルーがいいなと思って役場の方に電話して交換してもらったんです」

キッピスが東川町の子育て家庭に寄付している子育てボックス。
キッピスが東川町の子育て家庭に寄付している子育てボックス。おむつ、スタイ、スリーパーなど、子育てに助かるアイテムを詰めました。

移住生活を続けてきて行き着いた東川。
東川だから、3人目を産みたいと思いました。

子育てによりよい環境と働き方を求めて、東川に2020年に移住するまでに、海外も含めた7か所もの場所に住んできたという西隈さん。
「元々は名古屋に住んでいたんです。ただ夫が商社勤務で忙しくて、ほぼ私がワンオペで2人を子育てしていて。二人とも実家は離れていたので、誰も頼れないし、友達もいないし。今思えばよくやっていたな……って。そんな状況を当時夫もすごく悩んでいて。単身赴任もあるような仕事だし、ずっと自分は子育てに関われないって。それであるとき、きっぱり仕事を辞めちゃったんです」
そこから移住生活が始まることに。夫婦でウェブの仕事をしながら、海外ではインターナショナルスクールへの通学も視野に入れて、国内外問わず、さまざまな場所を見てきたそう。そしてその場所選びの基準は常に、「子育てによい環境」でした。
「まず最初にセブ島に行きました。子どもには英語が必要だと思っていたので、せっかくだからまずは海外に目を向けようと。でも行ってから気づいたのですが、結局は親の考えを子どもに押し付けているだけなんじゃないかなと思って。そして日本に戻ってきました。次は沖縄、そして夫の実家の横浜、その後、オーストラリアのゴールドコースト、福岡、そしてまた沖縄。このときは6年半ほど住みました。沖縄は冬でもあったかいし、住んでいる人たちの多様性もある。伸び伸び子育てできた感があって、結構長く住みましたね」
そして、北海道・東川町に引っ越してきたのは2020年8月。コロナウイルスがまん延した最初の年で、沖縄もかなりの影響がありましたが、移住の決心とは特に関係なかったそう。その決断のさまは、とても軽やかです。
「沖縄でやれることはやり切ったなという思いと、日本の端と端に住んでみようかということで、北海道が候補に挙がったんです。せっかくだから、田舎に住みたいと調べ始めたら、一番魅力的だったのが、東川町でした。小学校の大きな平屋の校舎とグラウンド。「君の椅子」を実施していること、さまざまな子育て支援策、子どもが本物のデザインに触れられる「せんとぴゅあ」の施設……と、理由をあげ始めたらきりがないんですが、町全体で子育てしていこうというハートフルな雰囲気を感じたんです」

東川町
「日本の百名山」にも選ばれている北海道で最も高い旭岳(標高2291m)を有する東川町。この自然と魅力ある支援策に惹かれて、多くの子育て世帯が移住する人気の町です。

そして3人目のお子さんは東川に移住してから妊娠・出産しました。
「元々子どもは二人でいいと思っていたんです。でも東川町に来たら、自然に、もう一度子育てしてみたいなという気持ちになって」
子育てしたいと思わせてくれる町。それは、絶大な信頼感が持てる町とも言い換えることができるでしょう。そして今年度から東川では妊産婦に対する昼食宅配サービスや、お掃除支援サービスも始まりました。
「いろいろな場所で子育てしてきましたけど、ここまでまわりがサポートしてくれる感がある自治体は初めてです。ちなみに、昼食の宅配は、お昼の注文を役場の方が受けてくれるんです。役場に日常的に電話することってなかなかないですよね。すごく新鮮です。これまで住んできた場所のなかには、一人で孤独な子育てになってしまう場所もありました。でも、東川は役場の方も住民に対してオープンで。一人じゃないよ、という雰囲気。それだけで子育てが楽しく、前向きになれます」
西隈さん一家にとって大きなメリットがあった東川移住。でも一般的には移住は学校に通うお子さんにとっては転校ということでもあり、環境の変化というリスクもありますが……。
「下の子は移住時小学2年生。元々引っ込み思案な性格で心配したんですが、結構あっさりと馴染んだんです。こちらの子どもたちが優しく話しかけてくれて、その日のうちに友達ができた。2クラスしかないから、すぐに仲良くなれたそうです。親ももちろんサポートするんですが、学校内でのことは限界がありますよね。でも東川町の学校に通って、思っている以上に子どもって大丈夫、放っておいた方がいいのかな、と思えました」
移住者が多い東川町。それは受け入れる側の学校や、子どもたちも慣れていて、受け入れる体制ができているということなのかもしれません。
「東川って、本当に田舎です。でもそれが面白いと思ったんです。むしろ、自然以外は何もないという環境に価値があるということを、ここに来てやっと気づけた。でも、どこの町も100%という町はないと思うし、沖縄に住んでいた時もそのときはそこがベストだと思って住んでましたから。でも今、当面は東川町にいると決めていて、ここ住まわせてもらってます。次はどこに移住するの?ってよく聞かれるんですけど(笑)、私たち家族のベストが今は東川だと感じるんです」

西隈さん
東川で生まれた3人目のお子さんと一緒にインタビューを受けてくれた西隈さん。何か所も移住してきた経験を、こともなげに話してくれたその軽やかさに感動!
取材・文/根本江利子(kippisブランドディレクター)
写真/写真文化首都「写真の町」東川町